kohpon

ペロ

この季節になると思い出す。

初めて飼った、ペロ。

いつも鼻を、ペロペロ。

ペロは、犬じゃなかった。

ペロが、死ぬのを見たくなくて、

それよりも先に死んでしまいたいとまで思った。

大好きだったペロ。

それまでは、命がなんだとか、死ぬのがなんだとか

全然、わからなかった。

けれどもあの日、左腕をつたう心臓の音が

消えてしまった時に、

無力感と、時の流れと、自然の摂理に

覆われた。

ペロ、ペロ、ペロ。

呼んでも届かない、ペロになって、

ペロが、ペロで、なくなっていく。

大好きなペロが、

動かなくなって、

大好きなペロが

灰になっていく。

階段に残った

ペロの毛が

日に、日に、

少なくなっていく。

忘れまいとした

ペロの感触が

ペロのにおいが

ペロの足音が

日に、日に、

消えていく。

消えていってしまう。

けれどもペロ、

今でも、

ペロのことを思うと、

涙が出る。

けれどもペロ、

今でも、

ペロのことを思うと、

命を感じることが出来る。

ペロ。